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フルハルター*心温まるモノ

序・緋色の研究-レッド・ブラック?- (碧)

 1日中万年筆を使っているにはどうしたらいいか?  
これが私の長年の命題だった。私は編集の仕事をしているので普通の人より筆記具を使う頻度が高い。下手をすると1日中ペンを握っていることもある。そこで考えたのが,赤インクである。編集の赤入れをすべて万年筆でやれば万年筆を使っている時間が飛躍的に長くなる。そう考えて,校正やメモ書き,指示書などできる限り赤インクを入れた万年筆を使うことでこの命題を解決した。

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 20年前,仕事では赤鉛筆を使用していた。そして時代とともに赤ボールペンになったが,今現在は万年筆4本(赤極細,赤太字,青極細,緑極太)と3色ボールペンを使い分けている。しかし,“赤は怖い”というのが長年使用してきた実感である。赤の色素は染料系のインクでも非常に強い。吸引式の万年筆に赤インクを入れて1年も使っていると,何度水洗いしても落ちなくなることがある。最近のインクは結構やさしくなったが,それでもインクによっては粉を吹くことがある。これはパーマネントインクによく似ている。インク瓶のフタがなかなかあかないようなとき,苦労して瓶のフタをあけてみると粉だらけになっているというあの現象に似ている。なぜか?

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 このあたりから,紅鮭さんとともに赤インクの研究をしている。そのタイトルとして「緋色(赤インク)の研究」と名付けた。  
 しかし,なかなか研究が進まないので,その露払いとして「序・緋色の研究」として今回ちょっと違った赤インクをご紹介しよう。

 私が,インク研究を始めたきっかけは,フェンテの会の中谷でべそさんから来るお手紙であったと,ずいぶん前にご紹介した(第7回こだわりのグリーン)が,その時から気に入って今現在も使用しているインクがモンブランのボルドーである。赤と茶色と黒の混ざったような色。ブルー・ブラックと対比するとレッド・ブラックいったイメージである。  
 このような赤と茶色と黒の混ざったような色はいろいろな会社から出ているが,メーカーによってネーミングは違い,ボルドーとかバーガンディという名前が多い。はっきりした日本語がないので今回はレッド・ブラック(赤茶黒色?)と勝手に名前を付け,話を進めたいと思う。  
 今現在,モンブランのボルドーがあまりにも有名になってしまったが,私が使用しているレッド・ブラックには以下のようなものがある。

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 この中で,プライベート・リザーブのバーガンディ・ミストが一番のお気に入りである。茶色にならず,ピンクと黒が溶け合ったような色合いだ。モンブランのボルドーより少し濃く,ピンク色が強い。  
 茶色になってはいけない,というのがレッド・ブラックに対する私のこだわりである。モンブランのボルドーはその境界線にあるぎりぎりの色合いを持っている(バーガンディ・ミストよりちょっと茶色に近い)。だが私はもう少し濃く,ピンクまたは赤に近い色が好きだ。  
 今現在のように多くのメーカーがレッド・ブラックを出していない頃(モンブランのボルドーしかなかった頃),モンブランのボルドーがそんな色にならないか,と実験で熟成させたことがあったが,瓶の1/3をとばしたところで諦めた。なぜかというと,茶色になってしまったのだ(正確には濃い赤茶色)。なんとも変な色なのである。しかし,これを万年筆でやると結構いい色になるから不思議だ。森山さんが万年筆の中で自然と熟成させているモンブランのボルドーはなんとも言えずにいい色になっている。そこで,黒インクを混ぜてみたが.........(こりゃひどい)。なんとも変な色になってしまった。

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 とにかく私のこだわるレッド・ブラックにもっとも近い色が,プライベート・リザーブのバーガンディ・ミストだ。しかし,プライベート・リザーブのバーガンディ・ミストとヌードラーズのバーガンディは長期間インク吸引式の万年筆に入れておくと,メンテナンスで水洗いしても簡単には赤色が落ちず,大変苦労したことがある。水で洗っても洗っても赤いインクが出てくるのだ。仕舞いには分解掃除をしてやっときれいになったこともあった。これが最大の悩みである。

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 そこでただ今,期待しているのが,ヤンセンの“ピョートル大帝”である。私のもっているヤンセンのインクは水洗浄掃除のとき,色落ちがよく万年筆のメンテナンスが非常にやりやすかったので,これもやさしいインクではないか,と期待して使い始めた。色はプライベート・リザーブのバーガンディ・ミストと肉眼では判別しづらいほど似ている。  

 さてさて,今回はレッド・ブラック(?)をご紹介致しましたがみなさんはどれがお好きでしょうか?。近いうちに本当の「緋色(赤インク)の研究」を紅鮭さんがご報告してくれると思いますのでご期待下さい。
by fullhalter | 2004-12-03 14:11 | インク研究会