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フルハルター*心温まるモノ

ヌードラーズインクの感想 その(2)by マーマレード・イエロー

今回は我が家へ来た6色をご紹介します。私は特にブルー系とかイエロー系とかにこ だわらず、各色を網羅してみました。

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ヌードラーズのインクの多くに、アメリカ西部開拓時代を連想させる名前がつけられ ています。私の手元に来た6本のうち2本のインクにもアメリカインディアンの部族 名がついたものがありました。まずその部族名付きインクから。


Apache Sunset (アパッチ・サンセット) シェーファーのキングスゴールドに良く似た色です。キングスゴールドはこれよりもう少しオレンジが強く、ゴールドという名にふさわしい風格がありますが、こちらのほうはそれより黄色寄りでやや明るめです。確かプライベートリザーブにもキングスゴールドに良く似た色のインクがあったと記憶しています。(あいにく手元に現物がないためそれがバターカップだったかシ ョーラインゴールドだったかは、確認出来ません。)そしてアパッチサンセットもプライベートリザーブの方も、キングスゴールドよりはやや明度が高いので、両者はかなり似た色なのではないでしょうか。
キングスゴールドほどではありませんが、アパッチサンセットも黄色系のインクとしてはまずまずの視認性を持っています。
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Kiowa Pecan(カイオワ族のピーカン) ピーカンというのは、馴染みのない木の実 ですが、英語の辞書をひくと長楕円形の堅果と書いてあります。Googleのイメージ検索で調べてみると、外皮は緑色をしていますが、中のナッツのような実についている薄皮が茶色をしています。
インク研究会で一二を争う博識の某氏によるとカイオワイ ンディアンにとってピーカンナッツからとれる油は貴重なものだったそうです。さらに昔31アイスクリームに「Butter Pecan」というフレーバーがあったそうで、アメリカ人にとっては比較的馴染みがある木の実のようです。そういえばシナボンの種類でピーカンボンというのがありますね、あれもそうかな? さて、皆さんに説明するのに、何か具体的なイメージはないかと考え、キウイの皮のような色だなと思いつきました。わずかに緑が混ざったような茶色とでもいうのでしょうか、穏やかな茶色です。
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ついでに書きますと、部族名のついたものは、
このほかにもnavajoe Turquoise(ナバホ族のターコイズ)があります。
(ヌードラーズの紹介の第1回でKings Blueさんが、紹介していた中にありましたね)これはナバホ族の装飾品としてお土産物にもなっている、トルコ石と銀で作った装飾品でのトルコ石の色のイメージのようです。
続いて残りの4色に移ります。


Purple 全36色の中にはBlackとかYellowとかViolet、Redなどやる気がないんじゃないかというような単純な名前の色がいくつかありました。微妙な色合いではなくオーソドックスな、名前そのままの色だよ、というつもりなのでしょうね。このPurpleもごく当たり前の、明るめの紫という感じです。
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Forest Green ペリカンのグリーンのような明るい緑ではなく、ウォーターマンのグリーンのように黒く沈んだという緑でもありません。フルハルターで試筆用の3Bに入っているペリカンのグリーンを半分以下に熟成(蒸発)させたインクをご覧になった方も多いと思いますが、あれに似ています。私の知っている既存のインクで言えばプライベートリザーブのシャーウッドグリーンに似ていて、インクフローの良い太めのペンで書いたときの発色はかなり近いものがあります。
ただ、フォレストグリーンの場合、緑に黒ではなくグレーを混ぜて、明度をさほど落とさずに透明感を殺した渋い緑という感じ。渋い緑というとプライベートリザーブのアボカドを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、ああいう茶が混ざったような渋さではなく、落ち着いた緑です。まさに森林の緑というネーミングにふさわしい色です。
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Turquoise ターコイズというとペリカンのターコイズやウォーターマンのサウスシーブルーに代表されるような明るく鮮やかな色を想像しますが、このターコイズは明度が低く、暗いトーンの色をしています。これならおじさんでも使って恥ずかしくないかなあという気にさせられます。
面白いことに、書いてから数十秒して乾いてくると色合いが変化し、光線の加減では緑がかって見えます。今回の中ではもっとも興味深い色で、一時はブルーのインクの代わりに使えるかなという気もしていたのですが、ちょっと遊び過ぎと感じる人もいそうで、日常使いにするかどうかは人によるでしょう。
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Ottoman Rose(トルコの薔薇) と名付けられたこのインクは、上の5色がナマズのラベルなのに、これは中世の絵画調の女性達が描かれています。
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この不統一さは何を意図しているのでしょうか?ラベルをよく見るとSpecialty issueという文字があります。何かの特別バージョンだったのでしょうか。それはさておき、このOttoman Roseは何にちなんでつけられたのか、Ottoman Roseという種類の薔薇があるのかしらと悩んでいたところ、再度某氏の助言が得られました。ちょっと長いのですが引用させてもらいます。

「これは、おそらく、オスマントルコの時代、トプカピ宮殿で流行った「ローズオットー」というバラから採った製油のイメージではないかと思われます。ハーレムの中で女性たちは王様に気に入られようと競って肌をすべすべにしていました。また、薬が豊富でなかったために、主に月経障害などの軽減を目的にして、バラから採取した製油を肌に浸透させ、その製油を燃やしアロマテラピーとして活用していました。描かれている女性たちは、ハーレムの女性だと思われます。」

そういうことらしいのですが、依然として色の連想はむずかしいですね。私のできる表現で我慢してもらうと、ラズベリーの果汁をもうちょっと赤く明るくしたような色でしょうか。

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色を言葉でお伝えするのは、何ともむずかしいものです。デジカメで撮ったりスキャンしたものも、それ自体違う色になっている上、見る側のモニタの設定で全然違うものになってしまいます。(現物ですら、紙の性質やペン先の太さ、見る光源などによってもかなり違って見えます)
色見本がフルハルターに保管されていますので、興味のある方はお店に立ち寄った際、遠慮せずに森山さんにリクエストしてみてください。
by fullhalter | 2004-08-27 09:36 | インク研究会