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フルハルター*心温まるモノ

武蔵の水墨画

このHPのどこかで既に書いた筈だが、蒔絵師、山崎夢舟との出会いは地元のご老人が縁である。
確か1997年に東京の友人とともにそのご老人は現れた。
たまらなく粋なお二人で、聞いてみれば、(現在は)100歳近い年齢で、慶応大学の同窓会帰りと言う。
ご友人の父親は私でも判る元外務大臣。
石川県からペリカンと当時販売していたモンブランを注文しに来られた。
「私は田舎ものだから、友人が一緒に来てくれて…。」
その方は、帰りがけに名刺を置かれた。
そこには、「漆器製造業」とあった。
加賀で漆器!それなら蒔絵師を知っているかと思い
「以前から万年筆に蒔絵を描いて欲しいと思っているのですが、ご存知ないでしょうか?」と聞いてみると
帰って調べてみるとのことだった。

こんな経過を辿って夢舟さんとの出会いがあった。
人と人との関係って素敵なものだと思う。
言うまでもないが、そのご老人と夢舟さんとは深い付き合いをさせていただいている。

それ以来、1998年の『宝尽し』 から5本の万年筆に蒔絵を描いていただいた。
その他では、ライター、印籠。
5年位前に1本、私にとって「これは」と思うものをお願いしているのだが、どうも難しいらしく、未だ手を付けられていないらしい。

2年程前、家族に万年筆に蒔絵して欲しいものを聞いてみると、「武蔵の水墨画」だと言う。
直ぐに夢舟さんに武蔵の水墨画の古さを蒔絵で表現出来るかどうか尋ねてみると
「出来ると思いますよ。」と流石の答え。
その流石が見事に表現された作品が先日届いた。
「武蔵の水墨画を」と言った本人に早く見せたくて心躍る気持ちで帰宅し、見せたところ、
「紙に描かれた古い水墨画が蒔絵でどう表現出来るかと思っていたけれど、流石だね。」と。

ペン先には長、短の刀も描いていただいた。
この刀が大変だったようで、金属を刀の形に切り取って凹凸に彫りを入れ、高蒔絵にしたという。
自分自身が納得する仕事しかしない、妥協しない、夢舟さんもまたそういう方です。

万年筆そのものはメーカーの製品ですので、全てをご覧いただくことは出来ません。
部分だけをつないだ画像ですが、ご覧ください。
武蔵の水墨画「枯木鳴鵙図(こぼくめいげきず)」です。

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by fullhalter | 2010-08-27 12:10 | 夢舟の作品達