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フルハルター*心温まるモノ

「Fugeeのしごと 16点の鞄展」3

2月16日の初日にお祝いと写真撮りの為に伺った“Fugeeのしごと 16点の鞄展”。
最終日の前日の27日(土)にも私を含め6人で再度伺った。
既に5~6人の先客があり、すぐに藤井さんご自身による、それぞれの鞄の説明があった。
一点一点にそれぞれの思いを話してくださった。
聞いている人にはそれぞれの思いがあったとは思うが、造り手から直接聞けることの幸せ。
至福の時であった。

藤井さんと初めてお会いしてから何年経ったか定かではない
十年前後なのだろうと思う。
初めての出会いの時に、人として職人として惚れてしまった。
その後も決して裏切られることなく、益々惚れ込んでいる。

「モノに惚れ、それを造る人に惚れる」ケースと、「人に惚れ、そしてその人の造りしモノに惚れる」ケース。
私には二通りあるが、藤井さんは後者のケース。
折に触れて申し上げているが、モノは造りし人の思いがその中に凝縮するので、モノを見れば造る人が、人を見れば造るモノが見えてくる。
それが、本当の職人仕事。
長い付き合いの中で今回初めて藤井さんご自身から聞いた嬉しい話がある。
「僕はね、どこのタンナーのどんな皮革ということに殆ど興味がないし、余り知識もないんだよね。お客様にあの革とか言われても、え~?ということがあるんだ。知らないというより、興味がないんだ、皮革商社や問屋で実際に見て、これという個体があると、その革でどんなモノに造りあげたいが見えてくるんだよね。」
「私も一緒です。」
万年筆の世界も一緒で、例えばモンブランのこの時代のこのモデル、あるいはこのペン、というだけで一人歩きしている。
全体としてはその時代のそのモデルということで、一定方向の傾向があることは確かである。
だが、私が最も大切なことだと思っているのは、工業製品である万年筆といえども、ペン先、ニブポイントは“個”の世界。
同じ時代の同じニブポイントのペン先と言えど、同じモノはない。
だから私は、その1本のペン先の個性に惚れ込むものが見つかった時に他人には言えない、他人には判らない喜びを感じるのである。

どんな仕事をしていても、職人とはそんな風でありたい、と思っている。
藤井さんの思いは、私にはよく判る。
最初の出会いで惚れ込んだことが間違っていなかったという気持ちが今、更に深くなった。
人を、見る目の確かさに自画自賛。

では、モノが物語る鞄をご覧いただこう。

「ライカとペットボトルを一緒に入れられるショルダーで、ワンタッチでリョックになる」という依頼主の要望で造った鞄
画像では判らないが、裏にその仕掛けがある。

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使い込まれた同じイタリア タンニンなめしのボストン

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どちらもいい風合い、味わいである。
どんな人がどんないでたちで持ち歩いているのか想像がふくらみ、楽しくしてくれる。
by fullhalter | 2010-03-12 13:55 | 私の好きなもの