第三十話 テーブルトップ
モンブランの輸入元を1993年8月末で退職した私は、10月30日の開業まで 店のテーブル・椅子・看板・そして奥の作業場の作業台等々を「おんこ(いちい)」で造る作業をしていた。
私にとって「モノ造り」のとても楽しい時間だったことが、昨日のことのようである。
店の試し書き用のテーブルには、モンブランサービスステーションで使っていたドイツ製の強化ガラスを使っていた。
廃棄することになっていたものを貰い、使っていたのだ。
だが、テーブルは四角形で、ガラスは楕円形。
(このテーブルに合わせた厚いガラスを置きたい。でもなぁ~、高け~だろうな。買えねぇ~な。)と、これまで思い続けていた。
昨年10月末に来店され、11月初めに取りに見えた方が帰りがけに、
「私、ガラスの仕事をしているんですけど、このテーブルにぴったり合わせたテーブルトップを造りましょうか。」と、言われた。
「開業以来の念願ですけど、高くて私なんかには造れないですよ。」
「こんないい万年筆、ペン先に仕上げてくれたお礼と思って。」
「いや~……。」
言葉が出なかった。
その方は、HPのトップにあるロゴと、店で使っているメモのロゴまで正確に入れてくれると言う。
ご好意に甘えていいか、悩み、心が重かった。
ただ、時間の経過とともに、悩み、重さから少しずつ開放され、嬉しさに変化してゆく己の心に、また悩みもした。
今年の始業2日目の1月9日(金)に、その方が届けてくださった。
素晴らしい出来である。
15年間の念願が叶ったのである。
この不況の時代、暗い時代、神はいる。
出逢いはどんな時代にもあるのである。
皆さんも逃さず、大切にしてください。
では、念願の神からのプレゼントをご覧ください。