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フルハルター*心温まるモノ

革小物vol.1 ワイルド スワンズ製品との出会い

 今から1ヶ月半か、2ヶ月位前のことだった。とても親しくさせていただいているお客様が、
「革小物を造っている人から、ペンケースを造るので万年筆を使っている人のアドバイスが欲しいと言われているんですよね。」
こんな会話が始まりだったと思う。ペン先研ぎ屋・ペン先研ぎ師と思っている私は心の中で
「勝手に造りゃいいじゃねえか。」
と思いながらも、お客様にそんなことは言えない。しばらく話していくうちに、どうも既に造ったのだが、ペンケースの中で万年筆同士がぶつかり合うデザインだったようだ。本業の万年筆以外の話に殆ど気乗りのしていない私に一生懸命話してくださるその方は、もの凄く“モノ”にこだわる方。そこで聞いてみた。
「ところで、そこで造ったモノ何か持ってるの?」
「持っていますよ。」
「今、ある?」
「ありますよ。これ」
尻のポケットから目の前に差し出されたのは3~4年間使い込んだ財布。
驚いた。ショックだった。

―― 何てヤツだ。この財布は。この男のケツのポケットで過酷に過酷に使われてこんなに味が出て。すげ~モノ造っているヤツがいるんだ。――
と、私は心の中で叫んでいた。

そのお客様は、
「カードが割れなかったのは、この財布だけでしたよ。」
確かに私がその財布を見せてもらった時にカードを入れる場所でないところに7~8枚のカードを入れていた。そして、それを尻のポケットに入れて毎日車に乗っていればカードもたまったものではない。

 この革は使う程に味わいを増し、更に中味を確実に保護してきた。“モノ”が物語っている。私は一目惚れ。それも強烈な。では、お客様からお借りしたその財布の画像をご覧いただこう。(※今後はA氏と呼ばせていただく。)

革小物vol.1 ワイルド スワンズ製品との出会い_e0200879_1474797.jpg


 画像で味わいがお判りいただけただろうか。この財布は、<ワイルド スワンズ>というブランドで、鴻野さんというお名前の三兄弟が造られている。A氏からは、直接営業担当をされている二男の方と会うことなどを聞かされた。そして、A氏は
「フルハルターとダブルネームでペンケースが出来れば嬉しいですね。」と。

 モノが良ければ、使って味わいが増すモノであれば、ネームなんて関係ネーだろうと、心の中で呟く私は、やはり変人。けれど、こんなモノを造っている人に会ってみたいという気持ちはその時生まれていた。
そしてA氏は、私を鴻野さんに引き合わせてくれた。4月7日自宅で。
鴻野さんと、デザイナーの平出(ひらいで)さんがご一緒された。お二人とも大変穏やかな方。もし、造り手が「俺は日本一だ」というような奴だったら早々と引き上げさせてもらうつもりだった私は、いい意味で期待を裏切られた。そんなお二人とA氏で2~3時間過ごした。

 A氏の財布を見た時から虜になってしまった私はこの人達が造るモノを、モノにこだわるフルハルターのお客様に渡せたらという思いが日々つのった。そこで鴻野さんに、
「私は使って味わいの出るモノが好きで、万年筆は正に使っていくうちに良くなるモノなんですよね。うちのお客様もモノにこだわる方が多んですけど、皆さんに喜ばれることを確信しているので、扱わせていただけないでしょうか。」と言うと、
鴻野さん、平出さんが同時に、「こちらこそ、よろしくお願いします。」
記念すべき瞬間だった。

 さて、ケイズファクトリー <ワイルド スワンズ>ブランドの現在の商品は、
財布・コインケース・システム手帳・メモパッド・カードケース・キーケース等々で、色は黒・チョコ・ナチュラルである。これらは、6月頃からフルハルターで取り扱う予定だ。

 では、私の使っている特別製グリーンのキーケースと、全く使っていないコインケースの画像をご覧いただこう。

革小物vol.1 ワイルド スワンズ製品との出会い_e0200879_1482013.jpg


 キーケースは10日間通勤電車で持ち続けた。
少々熟成した感じがお判りいただけただろうか。

フルハルターでの取り扱いは、6月頃を予定しております
by fullhalter | 2004-04-23 14:00 | 皮革製品