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フルハルター*心温まるモノ

モンブランNo,164 デモンストレーター(スケルトン)

 昨年12月13日の更新<マイコレクション5>でお見せしたモンブランデモンストレーターのギフトケースの中にちらっと写っていた(NO.121の奥に)マイスターシュトュックNO.164のデモンストレーターである。12月13日のお客様から「ところで、あのNO.121と一緒に写っているあれが気になるのだけど、あれな~に?」と言われた。「その内見せるから待っていてよ。楽しみに。」あの時に気づかれた方も多いと思う。

 このNO.164デモンストレーターも、モンブランの工場長が来日された時にNO.121(1970年製)と一緒にあのギフトケースに入れて土産としてプレゼントされたモノである。では、画像をご覧ください。

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 N0.164の中はこんなふうである。「いい出来映えじゃないか……。」 「なんだ、中味が見えてがっかりしたよ。見なけりゃ良かった。」 あなたはどちらなのだろうか。ではもう少し中味を詳しくご覧いただこう。

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 このメカニズムで芯の出し入れを行っている。

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 このNO.164はキャップを回転させ、メカニズムによって芯を出し、キャップの半回転によりスプリングの力で芯を引っ込めている。最後にこの芯(リフィール)が珍しい。

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 芯の先が白いのがお判りいただけたと思う。それまでは黄胴を使っていたのだが、約2年間だったと思うのだが、ステンレスに変更した。おそらく担当者が総力を上げての変更だったと思うが、これが大きな問題になった。書き味はいいのだが、使い続けるうちにボールが回転しなくなり、インクが出なくなってしまうことが多かった。私の記憶では82年・83年製がこのステンレスだった。この問題の解決の為に沢山の時間と、大いなる労力を使ったこと、今ではいい思い出である。

 我々の手で実際に筆記を続けてインクが出なくなることを証明するという、過酷で先の見えない作業だ。言い換えれば、拷問。だからこそ、私の中でいい思い出になったのだろう。我々の要求が通って、また黄銅に戻されたのだが、このステンレスの時はEFも造られていて凄く細く書けたし、書き味は良かったので廃棄せず、私は残しておいた。今でも何本かは残っている。これも役得なのだろうが、私はモンブランのモノが捨てられない。全てがいい思い出になっている私には、どうしても捨てることが出来ないのである。

 皆さんの中には、この私の気持ちを理解してくださる方も居られると信じている。では、17日にまたお会いしましょう。
by fullhalter | 2004-01-10 14:12 | マイコレクション