MONTBLANC SEKT

　　おそらくこのホームページをご覧の全ての方が、始めて見るのではないのだろうか。 何本造られたのか、今となっては定かではないが、すでにこの世には存在していないのではないだろうか。 まず、画像をご覧いただきたい。













　　ご覧いただいた通り、輸入年月日は昭和４９年１２月２１日。 輸入元は、私が在籍していたダイヤ産業である。 但し、私が入社するおおよそ２年前。 従って、何本造られ、またどのような使われ方をしたものか、私には判らない。

　　これからは私の創作である。 昭和４９年というと、日本でモンブラン製品が凄く売れていた時代である。 ピークは、この２年後から３年後だったと思う。 年々販売本数を急激に伸ばしていた年。 当時のモンブラン社社長ヂャンボア氏（創始者の子息）と、ダイヤ産業の社長は仲がよかった。 いいパートナーであったのだろう。

　　販売本数を急激に伸ばしてくれた日本に対し、ヂャンボア社長がお礼のつもりでドイツのメーカーに、《ＭＯＮＴＢＬＡＮＣ　ＳＥＫＴ》を造らせたのではないだろうか。 これらの《ＭＯＮＴＢＬＡＮＣ　ＳＥＫＴ》は流通の方々にプレゼントされたのであろう。 イベントの時にお店の方々や、問屋の方々を招待してその土産として配られたのかもしれない。 モンブランファンには”貴重な代物”である。

　　当時（私の在籍していた時代）商品管理をしていた業務課にとても仲良くしていた二人がいた。 その二人が言うには、「森山さん、あれ飲んでみたんだけどもう全然ダメになっていた。」　――何て恐ろしいことをする奴等だと、私の心は叫んでいた。 あんな貴重品をその価値も全く判らない奴が飲んじまったなんて。

　　今考えてみると、彼ら二人が担当していた竹芝の倉庫は、”宝の山”だった。 《ＭＯＮＴＢＬＡＮＣ　ＳＥＫＴ》に限らず、通常に販売されなかった貴重品（彼らにとっては残骸）が、山のようにあったのだろう。

　　私は万年筆好き、そしてモンブランファンとして入社したが、全ての社員は私と違っていた。 入社して間もなく、お客様から古い時代の製品の問い合わせが来ると、何故か私のところに回ってきた。 本来品質についての担当の筈が、古い製品についても「あっ、それは森山に」というレールが敷かれてしまった。 私がモンブラン大好きということを、皆が知った為に。 その結果、知らず知らずの内に知識が深まった。 その結果、資料も集まった。 有難いことである。

　　――話が脱線してしまった。 何かSEKTを見ているうちに、当時が懐かしくなって……。 お許しいただきたい。

　　《ＭＯＮＴＢＬＡＮＣ　ＳＥＫＴ》　楽しんでいただけただろうか。 楽しんでいただけたなら、嬉しいのだが。