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フルハルター*心温まるモノ

第二十話 完売・製造中止の万年筆

  先日月刊誌『ラピタ』が発売された。 お客様に見せてもらったが、余りにも多くのページに万年筆が掲載されているのに驚いて、帰りに本屋に立ち寄り買い求めた。

  ――取材はいつだったろうか。 1ヶ月前くらいだったかもしれない。 取材の時に、《フルハルターのお奨めの万年筆》 と言われたが、それが何だったかも忘れていた。お客様にフルハルターのページを見せてもらった時に、もの凄く驚いた。 「そうだ。 あの時に自分の好きな万年筆を出して、カメラマンが写していたんだ。 俺ってなんて間の悪い男なんだ。」 誠に申し訳ない。 『ラピタ』に掲載されたお奨めの万年筆2本のうち、1本は完売だし、もう1本は製造中止である。 取材の時には、まだこれからも販売出来る筈だった。 これらを、もう売ることが出来ない。 寂しく、悲しい。

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ペリカン400 茶縞

  お奨めのペリカンスーベレーンの中でも最も好きな色であることは、このホームページで申し上げた通りである。 そして、400の茶縞は、ペリカン社日本の要望で、最後のロットで製造され、日本だけで販売されていた。
  しかし、しかしである。 ある日突然「もう在庫はない」である。 ガッカリした。 腹も立った。 この茶縞は、無くなるのであれば数十本は在庫しておきたかった。 そのくらい俺は好きだ。 在庫しておかなかった自分が悪い。 でも、「もう無くなるよ。 在庫が少ないよ。 」と言って欲しかった。 情報が欲しかった。 この辺で泣き言は止めよう。
  救われたのは、既にこの茶縞の注文を受けていた方へは、輸入元と代理店(問屋)で何とか探してくれたので、ご迷惑をお掛けせずに済んだので、安心出来たこと。
 
  早速、『ラピタ』を持参して「これがいいから、これをくれ」と、茶縞を指される方が来店された。 丁重に完売されてしまったことをお伝えした。 まだ流通には残っている筈なので、好きな方はボールペン・シャープペンも含めて置いてある店があったら買うべきと、思う。


アウロラ88 スターリングシルバー

  このモデルは、昨年の『THE PEN』輸入筆記具総合カタログから消えた。 製造が中止されたものと思い、ホームページからこのモデルを削除すべく輸入元に確認をしたところ、「本国では作っているので、取り寄せることは出来るから削除はしないでいい。 」と言われ、その後も在庫を切らさないようにしていた。
  だが、これもしかし、しかしである。 3月7日に輸入元へ出掛けたところ、「森山さん、805製造中止って言ってきたんだよね。 注文もらっている分だけは何とかなるんじゃないかとは言っているんだけど。 」あと扱えるのは、数本のみ。
 ペリカン400の茶縞と共に、市場から消えてゆくのかと思うと寂しい……。


オーグラム・デザイン社

  『ラピタ』の54ページに、「オーグラム・デザイン」という会社が紹介されている。 この会社は、平成11年に紹介者の方と一緒に訪ねて来られた。 その用件は、「これから万年筆を製造・販売するのだが、ペン先をフルハルターで研いでもらえないだろうか。 」ということであった。
  私は常々、この業界に新しい方、新しい血が参入されることを大歓迎してきたし、現在でもその考えは変わっていない。 そこで、私がお役に立てることであればと、喜んでお引き受けした。
 
  『ラピタ』には「完成後はフルハルターに送り、森山信彦さんがペン先の調整を行っているのだ。 」と記してある。 調べてみたところ、平成11年と、平成12年に合計23本の調整はしていたので、間違いではない。 先日、川上社長から「これからも調整して欲しい」との電話連絡をいただいたが、詳しくは申し上げられないが、お断りした。
 
  従って、オーグラム・デザイン社製の今後発売される万年筆のペン先は、私が調整したものではないことを、ここで皆様にお知らせしておきます。


※ 『ラピタ』 …… 「大人の少年誌」と銘打たれた小学館発行の月刊誌。 今月号は「粋な万年筆――大人は携帯電話を捨てて万年筆を持とう――」とのタイトルで万年筆の特集が約50頁にわたり組まれている。 680円。
by fullhalter | 2003-03-15 11:14 | 私と万年筆