長原宣義さんの作品たち その15
その大好きな象牙の最終回で、それに相応しく「象牙デスク螺鈿万年筆」である。
長原宣義さんは、ペンクリニックの度に店を訪ねてくださった。
また10名弱での食事会の仲間に入れてくれ、
そんな深いお付き合いの中で、私が万年筆が大好きと判っていただけたのだと思う。
話は少し逸れるが、モンブランの輸入元に入社し、
この業界で唯一尊敬している人からこんな話を聞いた。
日本で一番有名な小売店店主に、
「モンブランに最近入社した若い奴は万年筆大好きだ。」
と話したと言っていた。
またモンブラン社に初めて研修に行った3週間の期間に、
ドイツモンブラン社の人々は私がモンブラン大好きと判ったらしく、
1950年代に造られたボールペンやペンシルを何本も修理部門でいただいた。
更に帰国時には同時代の万年筆をモンブラン社の土産としていただいた。
私は欲しいとか、大好きとかは言っていないと思うのだが、判るものだと思った。
長原さんも何かその辺りを感じられて、来られる度に私の好みに合ったものを
お持ちになったのだと思う。
ただ長原さんの名誉のために申し上げるが、
「買いなさいよ。」という雰囲気は一切なく、私の好みで求めたものばかりである。
言い換えれば、それ程私の好みを判ってくださり、試行錯誤して造ってくださったのだと
感謝している。
それでは、「象牙デスク螺鈿万年筆」をご覧ください。


ペン先はクロスエンペラー



螺鈿は前回が8面で、今回は11面。
この辺りも同じにせず、わざわざ変えておられる。

3本全てを並べて

