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フルハルター*心温まるモノ

長原宣義さんの作品 その2

長原さんの追っかけをしていたことは先週申し上げた。

いつだったかは定かではないのだが、ある日
「寝ないでいろいろ考えたんじゃが、え~んが出来たんじゃ。見にきんしゃい。」
と長原さんから電話が入った。
ペンクリニックを開いていた日本橋高島屋に向かった。

見せていただいたペン先は先端をくの字に曲げてあり、
何に使うのか、何の為なのか私には判らなかった。

いずれにしても、長原さんはメーカーの人で、
新しい試みをすることが可能であったし、
長原さんご自身が探究心旺盛な人だったからこそ、
「クロスポイン」や「くの字」ペン先を造り出せたのだと思う。
一方、私はモンブランの輸入元に居たことから、
モンブランの技術人が造ったものを
根本から変えてしまうことが出来ない立場であると同時に、
私自身の発想が貧困だったことは認めざるを得ない。

ただBやBBのニブポイントは四角い為、
物理的に使うのが難しくなるので、丸みをつける研ぎをしたのだが、
これも私が勝手に形状を変えていいのか悩みが多く、
退職する1~2年前に親しいお客様数人の方に提供したのみだった。
それが雑誌に「森山モデル」として掲載され、今でも一人歩きしている。

さて、くの字ペン先に話を戻すと、
それは古山さんから一本のペン先で
極細から超々極太まで表現できるものを造ってくれ、
との要望で、長原さんが寝ないで造りだしたペン先だった。
古山さんにとっても、「神様、長原様」であろう。

ある時、その古山さんから、
「149の『くの字』のペン先造ってよ。」との依頼があった。
直ぐに長原さんに電話でそのことを伝え、了解をいただき、
私が持っていた149EFのペン先をくの字にして古山さんに提供した。
「いくら?」と聞かれたので、
「いいよ。」と言うと
日本橋丸善で展示していた絵と交換でということになり、
古山、森山の物々交換の関係がこの時始まった。

では、くの字に曲げたペン先をご覧ください。

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長原宣義さんの作品 その2_e0200879_1459555.jpg


長原宣義さんの作品 その2_e0200879_150560.jpg


この「くの字」のペン先で実際に書いた筆跡です。
立てて先端を当てると細く、左に捻りながら書くと超々極太になるのだが、
このペン先を使いこなせるのは古山さんしかいないかもしれない。

長原さんは究極の造り手、古山さんは究極の使い手で、
使い手が造り手を育て、造り手が使い手を育てる夢の理想の関係だった。

長原宣義さんの作品 その2_e0200879_1515935.jpg



では、最後に物々交換され、
今も我が家の玄関でお客様の出迎えをしてくれている古山さんの絵です。

長原宣義さんの作品 その2_e0200879_1522556.jpg


長原宣義さんの作品 その2_e0200879_1523855.jpg

by fullhalter | 2015-04-10 15:02 | 長原宣義さんと私