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フルハルター*心温まるモノ

高倉健さんと万年筆 その4

先週は「高倉健さんと万年筆」でのフルハルター開業まででした。
今週はフルハルター開業後ですが、取材を受けた雑誌をお送りした後の
高倉さんからの手紙です。

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「一度店に…」とあるが、残念ながら訪ねてくださることはなかった。
開店後は電話での連絡が多くなったが、ある時は、
「モンブランのヘミングウェイを贈りたいのだが」との電話をいただいた。
前にも申し上げたが、高倉さんご自身はヘミングウェイが大好きで、もう無いことは判っているが
大切な方に贈りたいのだ、と感じた。
その時私は「3300」のナンバーの万年筆とボールペンのセットを持っていたのだが、
あれだけモノに拘る「モノ好き」の方へなら譲ってもよいと思い、販売させていただいた。
その時の高倉さんからの手紙

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あの時のモンブランヘミングウェイのナンバー「3300」は今どなたの元にあるのだろうか……。

高倉さんからは、店だけでなく自宅にも電話をいただいていたのだが、
電話に出た女房や息子も、全く普通の人だと言っていた。
相手に気遣いをさせない、緊張させない、優しさが伝わってくると女房は感激していた。

ある時、
「最近の書き味、何か違うんだけど。」と言われたので、
「私が居た時は全て研ぎ出し調整させていただいておりましたので」と申し上げたところ、
「やっぱり、そうだったんだ。」と言われ、改めて所謂森山モデルをお気に召してくださっていたのだと嬉しかった。

モンブランを販売出来た時はモンブランを、それ以降は折に触れペリカンを求められた。
その時の受領書が一枚だけ残っていたので健さんのサイン入りをご覧ください。

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モンブランヘミングウェイ万年筆、ボールペンを譲った後だったと思うが、
エッセー集『あなたに褒められたくて』の本と写真2枚、それぞれサイン入りで贈っていただいた。

本は既に1月9日に載せているので写真をご覧ください。

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22年間の高倉さんとのお付き合いの中で最大の驚きは11月10日に亡くなられたことなのだが、
10月(もしかすると9月?)の1週間の休み明けにまず留守電のメッセージを聞くと、いつも通りの元気なお声で
「高倉です。また電話します。」

こちらから電話をすることはなかった私は、「また電話します」を信じて待っていた時の訃報だった。
信じられなかった。
用件は何だったのだろう…、私にとっては永遠の謎である。
by fullhalter | 2015-01-23 16:10 | 高倉健さんと万年筆