フルハルター*心温まるモノ

高倉健さんと万年筆 その3

モンブランの日本総代理店は1993年3月から変わった。
サービスステーションは直ぐに移転することが出来なかった為、
同年8月末までの半年間、浜松町の世界貿易センタービル2Fにあった。
半年後、移転と同時に私は退職した。
その最大の理由は、これまでと同じ品質管理やアフターサービスが出来ないと思ったからである。

では次に何をすればよいのか…、
使う人に合わせないと上手く書けない筆記具が万年筆であることを16年5ヵ月の間にお客様から教えられていた。
一人ひとりの筆記角度に合わせた研ぎ出し調整をして売る専門店の開業しかない、と判断した。

それ迄にお世話になった僅かなお客様に開業の報告をさせていただいた。
報告をさせていただいた中の一人、高倉さんからいただいた手紙である。

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「念願の独立」とあり、多くの方々はそう思ったのだろうが、私の中には小売業の開業など全くなく、
それどころか最も向いていない人間だと思っていた。
ただ退職せざるを得ない、それからのモンブランに居てはならないとの思いがあり、
薄氷の張った池に飛び込む覚悟での開業だった。

「自分で出来ることがあれば何なりとお申し付けください。」とあるが、冗談で
「荷物があるので運んでください。」なんて頼めないよな、と言っていた。
銀座で車の中にいた時、酔っ払いが白タクと間違えて
「渋谷まで行ってくれ」と乗り込んできたので乗せていった、という話を亡くなってから聞いた。
何ていう人なんだろうか。
言葉にならない。
「荷物運んで」とお願いしても運んでくれる人だったのかもしれない。
そんなことお願い出来た筈もないが。

では、開店の時にいただいたお祝花の名札を。

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by fullhalter | 2015-01-16 13:47 | 高倉健さんと万年筆