『趣味の文具箱vol.27』
27号は「美軸名鑑」のタイトルで、28ページにわたり軸について書かれている。
また古山画伯のページでは「20年を経て明かされた森山伝説」と少々大げさなタイトルで
モンブラン社と闘い合った経緯について触れられている。
「20年を経て……」というタイトルは、総代理店の退職、
つまりフルハルターを開業して20年を経過したことから付けられたもので、
本編のHPでも、2013年、4月19日、26日、5月3日の3回にわたりモンブラン社のことを書いたのだが、
その大きな要因は、「20年経過したからもういいか…。」との思いからである。
当然だが、その間には、「闘い」もあったし、穏やかな時もあった。
ドイツの常識と日本の常識には想像も出来なかった違いがあり、互いに説明と譲歩を繰り返し、
少しずつ溝を埋めてゆく必要があったし、それを確実に実行し続けた。
海外製品の日本総代理店は商社に位置づけられると思うが、
私自身は品質管理、アフターサービスの担当ゆえ
モンブランは少なくとも「日本で最も信頼に足る筆記具」に地位を確保することが仕事と考えていた。
つまり、私自身にとっては商社ではなく、
モンブランの東京工場の役目を果たすのも大きな役割であると考えていた。
万年筆でもボールペンでも手直しが必要なものが入荷した時には、
我々で直せるものであれば返品せずに直していた。
何千本というロットの直しも幾度となく手をかけ、市場に出荷した。
当時、他の国々の輸入元で、そんなことはあり得なかった。
ドイツモンブラン社と日本総代理店、ダイヤ産業は同じ船に乗っているので対立すべきものではないが
日本のマーケットでは受け入れられないものは充分説明をし、納得してもらうのが私の仕事だった。
昨年本編でも書いたように、
どうしても受け入れられないニブポイントの形状のものが入荷した2回目のドイツ出張の時に私は、
「クレイジー森山」と呼ばれていたらしいことが、今回の古山画伯のページでも掲載されている。
当時を振り返ると、モンブラン社は本当にいい会社だった。
それはいい人たちだった、ということで、私もやり過ぎる程輸入された製品の手直しをしたし、
モンブラン社とともにいい製品を造り、市場で信頼を勝ち取って
売上を伸ばしてゆくことが使命、と思っていたので、私の言うことを聞いてくれた。
とても幸せな輸入元時代を過ごせたことに感謝。
私のことばかり申し上げてしまったが、枻(えい)出版社『趣味の文具箱vol.27』をご覧ください。













28ページにわたる美軸名鑑からペリカンと木軸のページ


フルハルターのページから



実物のNo.72と、私が使っているNo.74とワイルドスワンズシステム手帳









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パイロットの新聞広告の手書きをされた渡辺悦男さん
