フルハルター*心温まるモノ

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印籠 『蟻と蟋蟀』

今回の夢舟さんの作品はわりに最近皆様にご覧いただいた印籠『蟻と蟋蟀』である。
以前画像をご覧いただいた若い方が興味を持たれ、この『蟻と蟋蟀』は仮予約された。フルハルターのHPの画像が”お見合い”の場所になったのである。とっても嬉しいことだと思う。

【 作者の言葉 】
印籠は室町時代に中国から輸入した印判いれが変化、江戸時代には薬を入れ、武士の装身具として持ち歩いたようです。
幕末を迎えると武士に代わり町人が力を増し印籠を求めるようになり、競って豪華で、繊細で、オリジナルなものを所有するようになる。
武士階級がなくなると、そのコレクションは大量に欧米に購入されたと聞いています。

今回の印籠は黒柿を使った木地蒔絵で、見た目以上に難しい仕事です。素材が柔らかい木の上に蒔絵をするということはキズがつきやすくマスキングやキズ取りなどかくれた仕事が多く、研ぎに必要な炭研ぎ、ペーパー研ぎなど非常に神経を使います。
また水研ぎも素早く行わなければ黒柿の印籠自体が変形してしまいます。
今度は本当のイソップ童話の「アリとセミ」を書いてみたいと思っています。


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by fullhalter | 2005-02-25 13:38 | 夢舟の作品達

モンブランNo.74セット 

1960年代のモンブラン 何故完成度が最も高いと私は思うのだろうか。
皆さんが納得出来ることを残念ながら申し上げることが出来ない。
姿・形は1940年代後半から50年代に造られた現在のマイスターシュトュック オールドバージョンの方が美しいと、私も思う。
700番台・600・100・200・300番台と姿・形、そしてある種のモデルの色が”欲しい”と思わせてくれる。
持っているだけで”幸せ”を感じさせてくれる。

ある種のモデルとは、644・642・146・144・142の緑・灰の縞模様のボディ(キャップ)であり、たまらなく美しい。
「俺も欲しい~。」
744・742・644・642・149・146・144・142の吸入方式”テレスコープ”は、50%吸入量が増え、現在の149 2ccに対し、当時の149は、3ccの吸入量である。
何より、万年筆好きの皆さんは、”テレスコープ” その言葉に無条件に反応し、物欲をかきたてられるのではないだろうか。
ただ、2ccではなく3cc吸入出来ることが道具としてそんなに重要なのだろうか。今時は手書きで何時間もペン先を走らせることなど、どれ程の人がされているのだろうか。ピストン吸入式は、吸入作業が簡単だと思う。吸入作業そのものに”一息つく”そんな楽しさはないだろうか。
50年代のモンブランを持っているまたは持ちたい人の”心の満足”が確実にあることは、私にも充分判る。

テレスコープの吸入は複雑である。この方式を考え出した人、また造られた方達の思いには敬意を表したい。
一方で、複雑ということは壊れた時に直すことが難しいという欠点を持つ。それらは、オリジナルのパーツゆえ、本当に壊れた時は交換するしかないのだが、50年前のパーツがある訳がない。
またまた、話がそれてしまった。1960年代に話を戻そう。

1960年代のモンブランも70年代のそれに比べれば複雑であるが、50年代に比べれば、単純である。
60年代のそれぞれのパーツを50年代、70年代と比べてみよう。
まず、尻軸である。50年代、70年代も分解は出来ないがゆえ尻軸全体の交換となるが、60年代は4つのパーツを分解出来る為その部分だけの交換が出来る。また金属部分、例えばグリップは金張りゆえ堅牢で使って味わいを増すし、姿・形が美しい。

50年代の製品の修理は物理的に難しいが、60年代だと私自身で何とか出来ることが多い。これは私にとってとっても重要なことである。自信も持っているし、安心感もある。
モンブラン輸入元勤務時代は、販売する製品は余りなかったが、修理に戻って来る製品達は、60年代が現役バリバリだった。どれ程の万年筆たちを分解し、修理しただろうか。そんなノスタルジックな部分が”好きだ”と思わせているのだろうか。自分でもよく判らない。

60年代の製品には90番台・80・今回の70・10・20・30とそれぞれ素材や姿の違うモデルたちがいた。
既に紹介した90番台は14金または18金の無垢。これは高価ということもあるが、使うのにいろいろな意味で勇気がいる。
80番台は、総金張り。これは胴軸・尻軸が金張りの金属の内に樹脂軸が接着されているのだが、ここまで年数がたつと剥がれてしまって修理が必要になることが多い。この修理、特に尻軸、もの凄く大変である。一方70番台は金張りのキャップに樹脂製で4色のボディ。それぞれの色合いもいいのだが、金張りキャップと樹脂製ボディのバランスが私には最もよく、好ましく映る。また修理にも対応出来る可能性が高い。まあ、単純に私の好みでもあるが。

さてさて、このHPをご覧の皆さんにご賛同いただけるのだろうか。まあ、ご賛同いただけなくても、私が好きなのだからそれでいい。
また長々と書いてしまったが、74・72(万年筆)・78(ボールペン)・75(0.92芯 シャープペンシル)の揃った画像をご覧いただこう。

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次にボディの色をご覧いただきたいので、74と75の四色をご覧いただく。

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by fullhalter | 2005-02-25 13:06 | マイコレクション

懐中時計 『芙蓉の花』

今回ご覧いただく夢舟さんの作品はスターリングシルバーにパラジウムコーティングされたちっちゃな懐中時計である。
「なぜ時計?」と思われるだろう。実は歴史ある世界でも有名な時計メーカーの日本責任者の方とお目にかかれる日があった。その方に蒔絵を施した時計をお見せして、蒔絵時計を販売されれば特にイギリスでは喜ばれるのではないかと思ったのが一番の動機であった。
残念ながらその夢はまだ実現していないが、諦めた訳ではない。

* 今回は作者である山崎夢舟さんからの製作工程の説明を付してみます。

芙蓉の花をイメージし花びらの立体感を肉合いで表現。
花の部分には厚めの切り金とウズラの卵を貼り
荒い金粉(12号)を蒔き白、ピンクの色漆を塗り研ぎ出す。

葉の部分はプラチナ平目(白金)、金平目、正三角形切金(厚さ0.04mm)
を貼り金粉、または青金、銀粉を蒔き、研ぎ出している。
その上から葉脈を毛打ちで描き、金粉(4号)(1号)を使用する。

蝶も肉合いで盛り上げ羽の部分は黒漆で描く。
写真で見るより指の腹でさわってもらえば凹凸の感じが
よくわかると思います。


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by fullhalter | 2005-02-18 13:01 | 夢舟の作品達

ペリカン社世界の史跡シリーズ「ピアッツァ ナヴォーナ」

ペリカン特別生産<世界の都市シリーズ>が終わり、今回から<世界の史跡シリーズ>。

<都市シリーズ>は、2002年4月 ベルリン・ストックホルムに始まり、マドリッド・サンフランシスコ/シカゴ/ニューヨーク/アテネ/上海と全6回、8都市が製造された。
「今回は上海。中国だから、次はいよいよ日本かね。どこだろう?東京?ひょとすると京都かもね。」こんな会話が交わされてきたが、日本に来る前に<都市シリーズ>は終わった。

さて、今回からの<世界の史跡シリーズ>の第一弾は、ローマのピアッツァ ナヴォーナ(ナヴォーナ広場)。
アクリルレジンの削り出しで造られ、ナヴォーナ広場の大理石を模しているのかもしれない。この色調、私は好きだ。
<都市シリーズ>の中で一番好きだったサンフランシスコの様におそらく、1本1本柄が違う筈である。
では、ペリカン日本からお預かりしている万年筆・ローラーボール・ボールペンの画像をご覧いただこう。

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<史跡シリーズ>は<都市シリーズ>同様、年2回(春・秋)生産されるそうだが、今後どんな柄のモノが出て来るか楽しみである。

M 600: 万年筆 ¥42,000 販売予定数量: 360本
R 620: ローラーボール ¥25,000 販売予定数量:  80本
K 620: ボールペン ¥20,000 販売予定数量: 200本 (本体価格)

【 製品仕様 】
キャップ・胴軸: アクリルレジン
クリップ: ジャーマンシルバー
ペン先: プラチナ装飾18金 (F・M・B)
使用ケース: 専用ギフトケース

発売時期:  平成17年2月中旬
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by fullhalter | 2005-02-18 11:11 | 限定品万年筆

革小物vol.15 “Repose”

ケーズファクトリー 《ワイルドスワンズ》ブランドの作品達にはそれぞれ名前がついている。
以前デザイナーの平出さんに、
「オリジナルペンケースに名前をつけたいんだけれど、何かいい名前ありませんかね。」と尋ねられた。
― 俺に聞くなよ。俺にそんなアイディアなんかある訳ね~だろう。もっと人を見て相談する人を考えろよ。何たって俺はペン先研ぎ屋。それしかね~だろう。今まで何見てきたんだよ。―
とは思ったものの、優しい平出さんにそんなことが言える訳はない。

その時インク研究会の知識の宝庫にお願いすることを思いついた。
「平出さん、彼にお願いしてみますよ。」
例によって、何事も急がない私、彼はすぐに7つの候補を手書きにして届けてくれたのだが、しばらくは私の手元に置いたままだった。

昨年末にケーズファクトリー・インク研究会 合同の忘年会を催したが、その時に鴻野三兄弟の長兄に彼の手書きを渡した。
そこで決定されたフルハルターオリジナル ワイルドスワンズ1本差しケースの名前は「Repose」である。
訳すと、安息とか、休息の意味であるという。
― 俺の万年筆よ。この中でゆっくり休んでくれ。―
いい名前を選んでくれた。これでワイルドスワンズの戸籍を得られたのである。沢山の兄弟の仲間に入ることが出来た。これからは「Repose」と呼んであげて欲しい。

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by fullhalter | 2005-02-11 15:00 | 皮革製品

秋晩蒔絵

今回ご紹介するのは、昨年2004年の作品。
今私が持っている、夢舟さんに絵付けしていただいた万年筆では最新のものである。

数年前に夢舟さんの工房を訪ねた時、職人同士ということもあり、私が蒔絵が、否、手造りが好きだと判っていただいたような気がする。
というのは、その時に野村美術館で開催された作品展の貴重な本をくださったからだ。
その本の作品達の中でひときわ私の心を惹きつけた作品があった。
それは金を使った作品が多い中に目立たない静かな、穏やかさを感じた作品である。
何時の日か、この絵を万年筆にと思って実現したのが、今回の作品である。
では、画像をご覧いただこう。

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この作品は「秋晩蒔絵」と名づけられ、晩秋の日の暮れ落ちる一瞬を描いた、変塗研出地に黒艶消漆で秋草を高蒔絵した作品である。
金・銀・プラチナ・螺鈿などなどの派手さは無いが、何とも言えない落ち着き、穏やかさを感じさせてくれ、とても好きな作品だ。一見、高価そうに見えないところに、日本の良さを感じている。
だからと言って、金・銀や螺鈿が悪いなどと言っている訳でもない。
つまりは、金だろうが、螺鈿だろうが、艶消しだろうが、全体のバランスが大切で、それを好きになるかは個人の好みである。
ただ、造り手である作者がどんなセンスと技を持っているかは、大いなる問題ではあろうが。
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by fullhalter | 2005-02-11 10:55 | 夢舟の作品達

テッセン

第四回目の『夢舟の作品達』は私が大好きな花 ”テッセン”。

まず、「ある方に誠に申し訳ないことをしてしまった。」経緯を申し上げる。
私は熟練した人の手により造られるモノが好きであるということは、これまで申し上げてきた。
銀製の万年筆の手彫りによる彫金も、以前からお願いしている方がいた。
2000年に、こちらで指定して万年筆に私の大好きな”テッセン”を彫っていただいた。

2002年頃だったろうか。
山崎夢舟さんご夫婦が店を訪ねてくださった。その時に
「蒔絵も好きだけど、手仕事が好きだから銀製の万年筆に彫金してもらっているんですよね。見てみる?」
ご夫婦揃って見たいとおっしゃったので、龍や鳳凰、山水、そして”テッセン”が彫金された万年筆を見ていただいた。
その時見ていただいたことがきっかけで、絵付けをお願いした。
それが”テッセン”だった。

どんな変身を遂げているのだろうか…。出来上がって送られてきた時は、ドキドキした。
開けてみて、一目で好きになった。
彫金師の方の何の迷いもない一気に彫り上げた線が更に、そして見事に表れているではないか。
彫金師の方の技を生かした見事な絵付けであった。
そして改めて、彫金師の方の技にも感服させられた。

ただ、後になってとんでもないことをしでかした自分に気がついた。
このことを、彫金師の方にお断りしていなかったのである。
恐る恐る電話で経緯を申し上げたのだが、その方は
「もう、私の作品ではなくなったんだ。」と言われた。
後で言い訳が出来ない、取り返しのつかないことである。

そんな経緯があった”テッセン”だが、『象嵌』というか、『蒟醤(きんま)』の技法はいい。
素晴らしい出来映えである。
もし、次回もこの技法でお願いするなら、事前に必ず彫金師の方にその旨お伝えし、ご了解をいただいてから彫っていただくことにする。ただ、彫っていただけるかが問題であるが…。
では、 ご覧いただこう。

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by fullhalter | 2005-02-04 13:35 | 夢舟の作品達

モンブランNo.75 

1960年代シャープペンシルNo.75は私が大好きな製品である。芯の太さは0.92mm。
シャープペンシルで芯が太く、、濃い、もの凄く濃い芯の書き味は、万年筆の極太ペン先の書き味と共通する。

モンブラン輸入元勤務時代に極太ペン先が好きなお客様に、
「0.92mmのシャープペンシルにニューマンの2Bの芯を入れて使うと気持ちいいですよ。」
とよくお勧めした。
殆ど否、必ずと言っても、過言ではないくらい
「本当にいいね~。」
と言われた。

そんな経験から過日0.9の5B程度のそれも樹脂芯ではなく、黒鉛と粘土を焼いた芯を作ってもらったのだが、残念ながら無くなった。
ある種の方達にはもの凄く気に入っていただき、遊んで良かったと思っている。

モンブランNo.75を有名にしたのは、伊丹十三さんかも知れない。
あるTV番組の「私の大切なモノ」のコーナーで伊丹さんはこのNo.75を出した。
その後あるお店(そこで買われたことも言われたようで。)の電話が鳴りっぱなしだったということも聞いている。
また最近ではよくTVに出ている方が
「今あれば20万か、30万する。」などと言われているようだ。実際はそんなに高くはないようだが。

思い出すのは、二十数年前あるデパートで当時1万円定価のNo.75を在庫処分をしたい為に三掛け 3,000円で販売したことがある。
全部買いたかったが、モンブランの社員は買ってはいけないと思っていた私は、喉から手が出る程欲しかったが手を出すことは出来なかった。今でも悔やまれる。

No.75の良さはそのフォルムと金張りキャップなのだが、一番優れているのは、何と言ってもメカニズム。
このメカニズムはもの凄く堅牢である。
時計のオーバーホールのようにメカニズム内部のつまった芯のかすを取り除かなくては芯の送り出しが出来なくなることはあっても、壊れない。
No.75に限らず、1960年代のペンシルのメカニズムは素晴らしい。
マイコレクションでそのうち紹介するが、No.15・No.25も同じメカニズムである。
では、そろそろ画像を。

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【 製品仕様 】
キャップ・クリップ: 金張り
胴軸: 樹脂
方式: ノック式
太さ: キャップ:10.7mm 胴軸:9.8mm
長さ: 133.6mm 
重さ: 21.6g
ボディの色: 黒・赤・緑・灰 4色

■ 製造年代:  1960~69年
■ 最終販売価格: 1975年2月   ¥10,000 
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by fullhalter | 2005-02-04 13:10 | マイコレクション