フルハルター*心温まるモノ

<   2001年 06月 ( 2 )   > この月の画像一覧

第八話 フルハルターの看板について



e0200879_103545.jpg
  


  フルハルターの看板は、一位(いちい)の木で作った。
 
  いちいと言っても判らない人が多いかも知れないが、飛騨高山では「いちいの一刀彫り」として昔から有名である。北海道では「おんこ」と呼ばれ、母の実家の北海道で生まれた私は良く知っていた。 この木は内部に油分を含んでいる為だろうと思うが、時の経過と共に色が濃くなり、深いツヤが出て味わい深くなる。 私の良く言う「熟成」である。

  その内家具でも造る為に、何時の日か「おんこ」を手に入れたいと思っていた私は、かれこれ30年位前にその機会を得た。 札幌の叔母のところに滞在していた時に、「おんこが欲しいのだけれど何とかならない?」と聞くと「旭川に製材会社の社長の知り合いがいる。」と言われ、旭川まで出かけた。 旭川の会社に着いた私達をその社長は車に乗せて山の中を小1時間も走り、貯木場に連れて行ってくれた。 そこには直径30cmから70~80cmもあろうという大木がごろごろと横たわっていた。
  
  「これがおんこだ。どれが欲しいんだ。」
  おいおいこんな大木をどれが欲しいんだと言われたって、材木屋じゃあるまいし、答えられる訳がねえだろうと心の中で思いながら、
  「どれが欲しいと言われてもだいたい、いくら位するのかも判らないので。」 
  「ああ、安いよ。」などと会話をしながら、大、小取り混ぜて5本位選んだ。 自宅まで運んでいくらになるか確認すると、十数万円だった。 当時の十数万円は決して安くはないが、何となく買うことになってしまった。

  それから20年余り、庭で厄介ものになっていた、その「おんこ」達の出番が巡ってきた。 1993年 モンブランの退職を決意し、万年筆専門店を開くことにした私は、店の看板、テーブル、イス、その他もろもろをこの「おんこ」達で造ることにした。 在職中の休日は朝から夜まで、退職してからは毎日が「おんこ」達との格闘だった。
  好きな大工仕事、それも少しずつではあるが形になっていく嬉しさ。 更に日々店らしく配置されていく「おんこ」達。 心躍る人生最良の時期を「おんこ」と共に過ごした。 今は懐かしい「思ひで」。

  この「おんこ」達で造ったものには、ロゴ看板の他に看板が2枚、店用のテーブルにベンチ2つ、作業場のテーブルにベンチ2つ、そして、傘立てにごみ箱。 思い返すも楽しい日々だった。



e0200879_105664.jpg


e0200879_1051568.jpg


e0200879_1052574.jpg


e0200879_1053530.jpg


e0200879_106234.jpg


e0200879_1064070.jpg


e0200879_106527.jpg


e0200879_10737.jpg




(現在看板はワイルドスワンズの看板も含めて全部で5枚です。2004-09)
e0200879_1072426.jpg

[PR]
by fullhalter | 2001-06-30 10:00 | 私と万年筆

ペリカン・ギリシア限定生産品 ダイダラスイカルス




e0200879_1621770.jpg
  


  ペリカン限定生産品はこのホームページでもすでに紹介した通り、現在「玄武」が発売されている。 この玄武は「四神」の最後のモデルで、1995年ゴールデンダイナステイ「青龍」、1996年ゴールデンフェニックス(朱雀)、2000年ホワイトタイガー(白虎)が発売され、これらはアジア地区のみの限定で生産本数はそれぞれ888本であった。
  
  間もなく、ギリシャ限定生産品「ダイダラス~イカルス」モデルが発売される。 ペリカンのヨーロッパ地域の限定モデルは、1996年オーストリア限定「オーストリア1000」(1000本)、1998年ギリシャ限定「オリンピアード」(776本)と、今回のギリシャ限定「ダイダラス~イカルス」(800本)で3本目だが、本国を中心にヨーロッパ地域で発売される(た)。


  先日、幸運にも現物を見る機会を得た。
  万年筆好きの方だとご存知かも知れないが、今回の「ダイタラス~イカルス」と同様日本未発売だった1993年の「ブルーオーシャン」と少し似たところがある。 ブルーオーシャンはその名の通り、キャップ・ボディーがブルーでわずかに透明のモデルだった。 フルハルターでも発売後「欲しい」 あるいは「好きだ」と言う方が多かった。

  しかし私は、今回の「ダイタラス~イカルス」の方がはるかに好きだ。 このキャップ・ボディはブルーオーシャンよりもうすいブルーで、何とも言えない淡い色合いが気品に満ちていてとてもいい。 ペリカンでは「エーゲ海の空の色のイメージ」で製造したとのこと。 確か日本古来のガラス製品に同じような色合いがあったと思う。

  またキャップ・ボディの4ヶ所はリングがついているのだが、それぞれはスターリングシルバー製でボディの真中にはやはりスターリングシルバーの「イカルス像」がはめ込まれていて、何ともたまらない魅力的な容姿であった。 そしてトップとエンドにはスターリングシルバーのプレートがつき、トップにはペリカンマークが刻み込まれていて、淡い透明のブルーキャップ・ボディととても合っている。

  これまでに限定生産されたものは、非常に多い。 私の好みで申し上げると、ペリカンでは「ハンティング」・「オーストリア1000」・「初めの1931」、モンブランでは「ロレンツォ・デ・メヂッチ」・「アガサクリスティ」、アウロラでは「ダンディ」が気に入ったモデルで、これらは、自分の為に欲しいと思わせてくれたモデル達である。

  「ダイダラス~イカルス」は、久し振りに自分の為に欲しいという衝動にかられた万年筆だ。 その衝動が今までで一番大きい気がする。 淡い気品に満ちた透明のブルーにスターリングシルバーのそれぞれがあしらわれた全身。 私の好みだが、いいですよ。 

e0200879_162123100.jpg

 
[PR]
by fullhalter | 2001-06-25 16:10 | 限定品万年筆