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フルハルター*心温まるモノ

剣先倶楽部 vol.1

Dr.K.Kとは、樫本桂三さんと言われる方で、ホームページの<ミクロの世界>の写真撮影をして下さり、画像として取り込んで下さった「ホームページの恩人」のお一人。
それまでパソコンが余り好きでなかった私は、今一歩このホームページに思いを入れることが出来なかったが、この画像を見たとたん、
「自分が研ぎ出したニブポイントの形状が誰にでも判るぞ……。」
君主豹変する…ではないが、突然、そして素直に好きになれた。
そのすぐ後の会合で、
「何か森山さん変わったね。」と言われたが、
(あそこまで自分を表現出来る画像が出来りゃ~変わって当たりめェ~だろう。俺はアレを待ってたんだから。)
と心の中で叫んでいた。

さて、前置きが長かったが、その樫本桂三さんが、アメリカ・フランス・ドイツの人々を巻き込んで万年筆を造られた。

Kensaki Club Premier
Bexley Pen.USA-’03
01/38 KSK

と胴軸に彫り込まれた万年筆で、ペン先にも<Kensaki >の刻印がある。
この万年筆は『剣先』ブランド。
なぜ剣先なのか少々長い物語を書くことにした。

樫本桂三さんと始めてお会いしたのは、2000年7月28日。
あるデパートで長原さんのほてい竹の万年筆を買われた樫本さんは、当時少々左捻れで使われていた為に、そのペン先が樫本さんにとってベストコンディションではなかった。
「高価な万年筆なので自分に合わせてくれないか。」と、フルハルターを訪ねて下さった。
「でもこれ長原さんが研がれたペン先ですから、お断りしないで研ぐのは、はばかれますね。一寸長原さんに電話でご了解していただけるか、確認してみます。」
これが樫本さんとの始まりだった。

「始まりだった。」というのは、普通はその万年筆1本調整して終わる筈が樫本さんは万年筆の使い手としての達人である。
達人であるが故に、次から次へと欲求が湧いてくる。
その結果、ちょくちょくご来店下さるようになったのだが、お気を使われて時々有名な和菓子を土産に下さった。ある時、
「森山さんて甘いもの食べるの?」
「いえ、私は甘いもの全く受け付けないのですが、家族が大好きなので樫本さんのお蔭で今まで食べたことのないようなものをいただき少々鼻の高い思いをさせていただいています。私の腹は満たされていないんですが、心は充分満たされているっていったところですかね。」
「やっぱりそうなんだ。じゃ~何が好きなの?」
「私って変なんですよね。好きなモノで直ぐに浮かぶのは、タコとかイカなんですよね。剣先するめなんか飲み屋で私一人おかわりして笑われるくらい好きなんですよね。」

次のご来店の時に、剣先するめが土産だった。
その内にメールが「剣先同好会本部長」・「剣先同好会支部長」で来るようになった。
それから半年位経った頃だろうか。
「今度同好会から倶楽部にする。」と突然連絡があった。
流石樫本さんのこと、「第一回定例会決定事項」に「趣意書」を添えて2000年3月1日、場所は横浜「うかい亭」にてと(「うかい亭」のことは当然知っていると思われていた様子の樫本さんだったが、こちとら貧乏人、そんなとこ知っている訳ねェ~だろう。)書かれてあった。

趣意書には発起人としてあの長原宣義さんの名があり、樫本さんの車で長原さんとご一緒させていただいた。
さっき「流石、樫本さん」と申し上げたが、「第一回定例会」以降3年半経った今も第二回はないし、倶楽部の会員もあの古山画伯が4人目なのかなァ~と思うくらいで増えてはいない。
(何だ俺と同じじゃねェ~か。あの時は流石と思ったのに。まだ”ゼクス・フェーダー・クラブ”の方がましかもしれねェ~な。)
ごめんなさい。樫本さん決してけなしている訳ではありません。
世間の人から見ると何かよく判らない倶楽部っていいですよ。このまま霧の中の「剣先倶楽部」で行きましょう。

この特別に製造された万年筆<Kensaki>の命名は、この様な長い年月を経て誕生したのである。
ところで、ケンサキ≒ペンサキ  Kensaki≒Pensaki
またケンサキスルメの形とペン先の形って似ていると思われないか。
スルメと思うとダサいかも知れないが、「剣先倶楽部」や「剣先」と書けばかっこいいと思うのだが。

次週は、万年筆の画像をご覧いただきます。
by fullhalter | 2004-10-08 11:09 | 剣先倶楽部