メモパッド
昨年1月末、千歳市の支援センターの方から突然店に電話が入った。
叔母の具合が悪いということだった。
直ぐに姉と弟に連絡し、岐阜にいる弟に千歳に行ってもらうことにした。
当時85才だった叔母は
今後ひとりで生活出来るような回復は見込めないということで
老人ホームへ入所することになった。
身の回りの整理も弟がすることになった。
その中にオーストリッチのハンドバッグがあり、
誰も使う人がいなかった。
千歳から東京経由で岐阜に帰る弟がそのバッグを店に置いて行った。
ある時、Fugeeの藤井さんと金原さんが店に来られたので、
「このバッグ、叔母が使っていたものなのですが、
何かに造り変えられるようであればと思っているのですけど。」と気軽に言ってしまった。
「じゃー、預かりますよ。」と言って下さり、それから折に触れて
「もう少し待ってね、何か面白いものにと考えているから。」と。
先月の18日早朝、老人ホームの担当の方から自宅に電話が入った。
「叔母さんが脳梗塞を起こされたようです。」と。
1週間後の25日早朝、87才で叔母は帰らぬ人となった。
それから2週間後の8月8日、藤井さんが見えた。
「金ちゃん(金原さん)と話して森山さんに合うものと考えて、こんなの造ったの。」と
私の目の前に生まれ変わったメモパッドが現れた。
それはまるで大好きだった叔母が一緒に店を守ってくれるような気がする、
胸がジーンとする、正に「心温まるモノ」だった。
Fugeeさんには、面倒なお願いを簡単にしてしまったこと、深く反省しているが
お言葉に甘えることにした。
Fugeeさんだからこそ、店を一緒に守ってくれるようにしてくださったと
感謝の思いを忘れることなく。
このメモパッドのサイズは、私の大切な友人、「満寿屋」川口さんが造ってくれた
フルハルターオリジナルメモ用紙にぴったりと合わせてくださった。
中はフランス デュプイ社のチュルケス グリーン、裏はヌパックで
ガラスの上でもぴったりとくっついてくれ、滑らない。
これからご覧いただくメモパッドは、私にとって唯一無二の大切なモノとなった。
このメモパッドに似合う万年筆は何なんだろうかと考えた。
まず夢舟さんの蒔絵、そしてモンブランNo,149金無垢。